初恋の君と、最後の恋を。
興奮したせいか、目頭が熱くなる。
「婚約者は私のことを愛してくれているのに。どうして私は彼だけを愛せないのか!ずっとずっと考えているんです!婚約者ではなく、あなたに!黒瀬良斗にどうしようもなく惹かれているんです…好きなの…」
地面に膝をつくと、地面に水滴が垂れた。
ああ、私はーー泣いているのか。
ごめんね、仁くん。
みっともないよね、私は。
「婚約者か…」
先輩がそう呟いた気がした。
自分勝手な心からの叫びが恥ずかしくて、顔を上げられない。
もしかしたら呆れて黒瀬先輩は立ち去るかもしれない。
こんな女、二度と関わりたくないと思うかもしれない。
彼が消えたら、私も帰ろう。
そう思ったけれど。
私の愛した先輩は、泣いている女の子を残して帰るような人ではないんだ。