初恋の君と、最後の恋を。
家に帰りたくなくて近所の図書館で小説を広げる。
優しい両親と帰る家があって私は恵まれている。
たくさんの幸せを家族からもらっているはずなのに、"恋"だけは許されない。
小説の中の男女のように燃えるような恋を、嫉妬で気が狂いそうになる愛を知りもせずに、私はーー
「やめよう」
何度考えても答えは出なかった。
今は黒瀬良斗ただひとりに、
夢中になっていたい。
小説を閉じて英語の参考書を開く。
イヤホンから聞こえる英単語の渦に混乱しながらも、ペンを握った。