初恋の君と、最後の恋を。

ゆっくりと階段を上っていく。
絶対に重たいよね。

教室まで送ってもらったが、既に雅美の姿はなく誰もいなかった。

それでも心配をかけたくなくて伝える。


「雅美と待ち合わせしてるので、ありがとうございました」


「そっか」


黒瀬先輩は教室の前で静かに私を下ろしてくれた。


「それじゃまた」


「ありがとうございました」



黒瀬先輩の後ろ姿が見えなくなるまで見送る。



良かった。


投げつけられた言葉は、私のためを思ってきつく言ってくれたことだ。

でもその中に彼の本心が含まれていないとも限らないんだよね。