初恋の君と、最後の恋を。
窓から見える道行く恋人たちは、嘘なく相手に向き合えているのだろうか。
先輩は正直な人だ。
それに私なんかの嘘を見抜く洞察力もある。
「俺、教師になるつもり」
「教師ですか」
「いつか教え子たちに胸を張って主張できるよう、大学で勉強して様々な知識を蓄えていこうと思っている。バイト先でも教わることが多いんだ」
話してくれたことも意外だったけれど、その中身も想定外だ。
それでも我が道を行く先輩らしい素敵な夢。
私とは違うーー。
「はぁ。先輩はやっぱりカッコいいですね。最初は憧れでしたけど、傍にいればいるほど…惚れ直します」
先輩との出逢いが、この想いが、
運命の恋であればどれほど良いものか。
どうして神様は私に黒瀬先輩を出逢わせてくれたのだろう。
「君と一緒にいると、俺は立派な人間になった気分だよ」
「とっても立派ですよ」
「君こそーー親御さんの引いたレールの上を歩いていると言っていたけれど。それは恥ずべきことでなく、ただ君が優しいからだよ。優しいから両親を傷付けることを恐れて、期待に応えようと頑張っているだけだよ」
微笑みを浮かべて真っ直ぐに私を見つめる先輩の手を、衝動的にとる。
テーブルの上で重ねた手を、ギュッと握った。
「黒瀬先輩が、大好きです」