初恋の君と、最後の恋を。
「……なんですか」
「コレ、見て」
彼は私の目の前に、教科書を広げた。
「え…」
数学の教科書の一面に大きく書かれた落書き。
「死ね!?」
言葉の暴力と、下品な落書きをまじまじと見る。
「俺のことをよく思わないクラスメートからの嫌がらせ。おかげで授業、サボっちゃったよ」
彼の名前は知っている。
黒瀬先輩。
爽やかな容姿と優しい笑顔が女子から圧倒的に人気だ。
教科書をこんなにされてまで、笑ってるよ…メンタル強すぎでしょ。
それにしてもひどい落書きだ。
きっと油性ペンだよ。
「君の教科書も無残だね」
地面に落ちた紙切れを掻き集め、先輩は笑った。
私が散らかしたものを先輩に片付けてもらってるって、なんかおかしいよね。
「でも君は運が良いよ」
「はあ?」
この状況のどこを見て運が良いと?
整いすぎる顔を睨みつける。