初恋の君と、最後の恋を。

強い?
ーー誰が?


中学時代、クラス中のイジメから私を救ってくれたのは雅美だった。


強いとは、雅美みたいな人のことを言うのだ。



「君は今こうして学校に来て、自身の強さを証明しているでしょ」


なっ…
何を言い出すのだ、この人は。
私のことを何も知らないくせして。



「成績が悪くて、教科書破いたの。あなたは"たかが"成績くらいって思うかもしれないけど、私にとってはーー」


先輩は私の口元に、教科書の端を当てた。



「一生懸命に生きてるんだな、って感心してるけど」


「は?」


教科書を払いのける。

先輩の考え方は、人と違うようだ。
ちょっと…いや、かなり変わってる。

モテ王子のくせして、嫌味の欠片も感じさせず、ゆったりとした雰囲気を醸し出す。
悪魔で自分のペースってわけ?
高校生ながら大物のオーラを感じるんだけど…。





「……余ってる教科書が図書室にあると思うよ」


「そっか、ありがとう」



出逢ったその日から、黒瀬先輩は"ありがとう"って笑ってくれた。


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