初恋の君と、最後の恋を。
翌日、私は2年生の教室に乗り込み、迷わず黒瀬先輩から地理の教科書を借りた。
それからも顔を合わせれば雑談をして、いつの間にか好きなっていた。
「懐かしいね」
コーヒーのお代わりを注文しながら、黒瀬先輩は苦笑した。
「黒瀬先輩があの日、声を掛けてくれなかったら私ーー聖可高校をやめていたと思います」
「いいや。君は踏み留まっていたよ、自身の力で」
そうやって先輩は私をかいかぶる。
「私が黒瀬先輩のことを好きになった理由はーー上手く言えないけれど、黒瀬先輩の隣りでなら、ずっと笑っていられるような気がしたから。こんな私でも強く生きられる気がしたから」
「……」
雅美と友達になった時、たくさん助けてもらった分、生涯をかけて雅美を守ると誓った。
先輩を好きだと気付いた時、この人のためならなんでもしようと思った。
なにより、
「黒瀬先輩の隣りにいる自分が、1番好きだから」
ふぅと息を吐く。
「黒瀬良斗さん、あなたが好きです」
あの時と同じ、全てを見透かしているような綺麗な瞳に吸い込まれそうなる。
「だからーー私をフッて」
たくさんのことから逃げてきた。
でも、あなたからは絶対に逃げないと決めたから。
きちんと終わりにする勇気を出せた。
「できれば、未練も残らないほどの辛辣な言葉で、私をフッてください」
机の上に額をつけて、目を閉じる。