ワケありヤクザと鈍感少女
そんな私に気づいた1人が笑みをこぼす。


「・・・そのカワイイのはあんたの新しい女かぁ?

それとも新しいセフ」

響也さんがその言葉を聞き、後ろを振り向く。

「・・・お前、出てくんなって言ったろ。」

「・・・ご、ごめんなさい。体が勝手に・・・」

すると派手な柄のシャツを着た男が

私に手を伸ばす。

その手を響也さんが片手で止める。

「・・・触んなよ。」

さっきまでの優しい笑顔はなかった。

鈴木組・組長 鈴木響也の顔に変わっていた。

「・・・あー、怖い怖い。

さっすが女好き鈴木組組長さん。」

「・・・さぁ、茶番はここまでだ。

けりつけよーか。響也。」

そう言うと男は懐からナイフを取り出す。

(…ひっ、ナ、ナイフ)

響也さんは恐れもせず、震える私を庇うようにして言う。

「・・・素手で喧嘩もできねぇーのか。

落ちぶれたな、あんたんとこも。」

「・・・黙れ。」

男が響也さん目がけてナイフをふりかざす。
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