ワケありヤクザと鈍感少女
・・・家に着いた時には既に22時を回っていた。

真っ暗な部屋の電気を付ける。

彼をベッドへとゆっくりおろし、

雨で濡れたスーツを脱がし、

濡れた髪をタオルで軽く乾かす。

そして、そばにあった大きめのパーカーを着せる。

その時に、さっきまで暗くて見えなかった彼の顔が

はっきりと見えた。

・・・彼は大人の色気をむんむんと醸し出すうえに、

目を閉じていても分かる程、

とても端正な顔立ちをしている。

・・・起きた時の顔が見てみたいと少しだけ思った。

さらに、顔に複数の擦り傷があった。

首元には虎のタトゥーのようなものも見える。

「・・・喧嘩でもしたのかな。」

そんな独り言を呟きながら傷口に消毒液を塗布し、

小さめの絆創膏を貼り、応急処置をした。

「あ、ズボンとかも濡れてるよね・・・。

し、失礼します。」

乾かそうと思い、

ズボンに触れると何やら固い感触がする。

さっき私の手に当たったやつだ・・・。

私はなんとなく少し脹らんだポケットに

手を入れ、その固いものを取り出す。




「・・・こ、これって」
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