伝説に散った龍Ⅰ
これは忠告。
あくまで
「忠告だからね」
最後にもう一発
何処かも分からない場所に爪先を強く打ち込んだ。
苦しそうだったから急所に当たってくれたのかもしれない。
その場の誰もが恐怖を感じる
いや、感じざるを得ない
残虐な行為から、しかし誰も目を逸らすことができないでいた。
「貴方たちは、賢いよね?」
「、っ」
「自分たちのすべきことくらい分かるよね?」
先程までの威勢はどこへ置いてきたのやら
大爆笑する膝を懸命に動かしながら、男と咲良はヒョロヒョロ消えて行った。
「…救いようがないよね」
つぶやいた私に
「…芹那、ちゃん」
弱々しい笑顔を見せた伊織を。