伝説に散った龍Ⅰ
伊織は涙でくしゃくしゃになった顔のまま、私に微笑みかけた。
苦しかったね、辛かったね。
ごめんね、伊織。
こんなになるまで我慢させちゃって。
「伊織っ!?」
焦った近藤の声が聞こえてきて、私はふと伊織から離れた。
すると、一瞬、伊織の体がふらついて、それを慌てて支える。
「せ、りなちゃ、ん」
意識の途切れる寸前の声。
そんな感じがした。
「いいよ、伊織、疲れたんでしょ?
少し、休んだ方がいい」
私の言葉を聞いた伊織は、少し微笑んだあと、すっと体の力を抜いて、私の腕の中に収まった。
なんて、それを見て呑気に微笑んでる場合じゃないと、
「…伊織、さん」
気づいたのは、その時。