伝説に散った龍Ⅰ
疑念ではない、
確信、だった。
根拠はない。
ただ、本当に。
バレることだけは、どうしても避けたかった。
「世那」
あんたと、あたしは幼馴染。
ーーいいね?
小声でそうつぶやき、私はそっと世那を離した。
「…烈、さん」
消え入りそうな声で呼びかけた世那の視線の先に、あの銀髪がいる。
圧倒的オーラをまとい、あいつと同じ、真っ黒な瞳を持ったそいつ。
「俺、芹那と話がしたい。
五分だけ、時間を、くだ、さ、い…」
深々と頭を下げた世那。
逃げ出したくて仕方がなくて。
でも、それさえも許されない現状に怒りを感じた。
「構わねぇ」