青色の輝き
「その…腕、貸してください」



「…大丈夫か?」




まだ何も起こってないけど…。




ただ暗いだけで、白石は俺の左腕にくっついてくる。



くっそ…かわいい。



白石、絶対俺のこと意識してねぇな。



こんな暗いとこで、男にくっつくとか…。




俺は心の中でため息をつきながらゆっくり白石に合わせて進む。



何かが出てくるたびにびびり、挙げ句の果てには涙を流す。



「白石、ほんとに大丈夫?」



「…はい」



しゃがみこんで動けなくなってるくせに一丁前にいい子の返事は忘れない。




腕も離す気配なし。



仕方なく、俺は白石を抱き上げた。




「怖がりなくせに入るっていうなよ…」



「むぅ…だって栞里がぁ…」



泣きながら抵抗もせずに運ばれる白石。



明るくなってから、白石を下ろすと、白石は鼻をズルズル言わせながら、とぼとぼと教室の壁にもたれかかる。
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