ちゃんと伝えられたら
映画が終わった瞬間、隣にいる道人さんに私は顔を向けた。

別の意味で涙が浮かんだ。

それぐらい笑ったのだ。

「やっぱり篠田さんは笑った顔の方が良い。」

道人さんはホッとした様な表情を向ける。

「…志保ちゃんって呼んでいいかな?」

私はまだ坂口さんにそう呼ばれた事がない事に気が付いた。

兄弟で雰囲気の似ている道人さんにそう呼ばれると少し意識する。

「俺は最初から名前で呼ばれているから。」

「そう言えばそうですね。坂口さんが二人で紛らわしいですもんね。」

二人で顔を見合わせて笑う。

「どうぞ、好きなように呼んで下さい。」

そう言いながら、私はやっぱり坂口さんの顔がちらついてしまう。

「志保ちゃん?」

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