ちゃんと伝えられたら
「でも、お店があるでしょう?」

私は道人さんの気遣いだけでとてもありがたく感じた。

「今日は夜の準備に間に合えばいいんだ。日曜の昼には人手が足りているから。」

道人さんはそんな事を言ったけれど、きっと無理して時間を空けてくれているんじゃないかと感じる。

でも、今はその事に目をつぶって甘えてしまいたい。

「悲しい映画で見て、思いきり泣こうと思っていたんです。」

私の笑顔は痛々しく道人さんに映っていないだろうか。

少し怪訝そうな表情を見せた道人さんは、何か思いついたように言った。

「そんな事を言わないで、逆に思いきり笑える映画にしよう。」

「えっ?」

私、コメディは苦手なんだけれど。

そう思いながら、私は道人さんについて行った。

「ああ、お腹が痛い。」

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