ちゃんと伝えられたら
いつも最後に同じような事を言われてしまう。

そう言えば、坂口さんは私のどこが良かったって言っていたんだっけ。

何だか最近は仕事の仕方ばかり褒められているような気がする。

「確かに坂口さんとお付き合いが始まったはずなのに、全くプライベートで会った事がないんです。仕事では一緒に居るんですけど…。」

道人さんの優しい雰囲気に私はつい話を始めてしまう。

「えっ?食事にすら行った事がないの?」

「道人さんのラーメン屋さんだけかな。後は私が作ったお弁当を一緒に食べるぐらいです。それも移動の間が多いので、車の中で急いでとか…。」

そのお弁当だって、必ず一緒に食べられるとは限らない。

「兄貴…、一体何をやっているんだ…。」

道人さんはぼそりと言った。

「坂口さんがすごく忙しい事はそばに居てちゃんと分かっているつもりなんです。でも…。」

「ごめんな、志保ちゃん。」

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