ちゃんと伝えられたら
「道人さんに謝ってもらうために、こんな話をしたわけではないんです。」

私は慌てて、道人さんに言った。

しまった…、道人さんに自分のお兄さんの愚痴を聞かせてしまった。

「私は例え仕事中でも、坂口さんのそばに居られるんだから欲張りですよね。」

私は苦笑いしてしまう。

「…俺だったら、志保ちゃんにそんな思いをさせないのにな…。」

道人さんも苦笑いをする。

「兄貴より先に志保ちゃんと出会っていたらどうなっていたかな。」

「えっ?」

「兄貴とダメになりそうなら…、少しは俺の事も意識して欲しいかな。」

道人さんはそう言い残して、伝票を持って先に出て行った。

私も呆然としながら道人さんを見送った後、少し遅れてカフェを出た。

道人さん、あんな事言っていたけど、そんなに私は哀れに見えてしまったのかな。

言葉通り受け取ってしまったら勘違いしてしまいそう。

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