ちゃんと伝えられたら
道人さんの別れ際の意味深な言葉は深く考えないようにした。

そして私は知らず知らずのうちに会社の方へ向かっていた。

すごく坂口さんの顔が見たくなってしまったからだ。

でもそんな事をしたって仕方がない事は分かっている。

だってオフィスの中に入っていく勇気はないのだから。

もう少しで会社という場所で…。

私は坂口さんの姿を見かける。

「あっ…。」

話しかけてもいいだろうか、私はそんな風に思いながらも駆け出そうとした時だった。

「坂口さん。」

そう呼びかけたのは私ではない。

坂口さんの後ろから、若い女性が駆け寄って来た。

そして坂口さんの腕を掴む。

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