ちゃんと伝えられたら

昨日…。

私の中には坂口さんとあの女性の姿がよみがえってくる。

私はそっと涙の浮かびかけた目をつぶる。

「…道人に宣戦布告をされた…。」

「えっ？」

私は全く想定外の事を言われ、驚く。

「篠田の事をちゃんと思いやってやれないのなら、俺に譲ってくれと言われた。篠田…、昨日道人に何を話したんだ？」

私は坂口さんの顔を見ようと、首を回す。

「こっちを見るな。」

急に声を荒げた坂口さんに私は委縮する。

「それに寺本さんから電話をもらった。篠田とちゃんと付き合いたいって。上司の俺にはちゃんと許可が欲しいって言われた。」

私の居ないところで、話がどんどん大きくなっているように感じた。

「篠田、俺とお前の関係は何なんだ？俺達は付き合っているんじゃないのか？」