ちゃんと伝えられたら
坂口さんが私の肩に手を置く。

「あの雨の日、そんな事を考えていたら無性に志保の声が聴きたくなって、出先から会社に電話を入れていた。買い物に出していると聞いて…。」

坂口さんはぐっと私の肩を掴むとうつむく。

「とたんに顔が見たくなって、聞いた場所に向かってしまった。そうしたらあんな雨の中に志保の姿を見つけて…、正直その後の行動は咄嗟に出たものだった。」

そんな事情があったんだ…。

「でもそれならもっと早く話してくれても…。」

私は私の肩にある坂口さんの手に触れる。

「話せるわけがないだろう。」

坂口さんは大きく溜息をつく。

「俺は寺本さんや道人と一緒に居る志保に…、あんな妬きもちをやいてしまったんだから。」

「えっ?」

「ちゃんとした理由があっても、お前が他の男と親し気にしている姿を見たくない。そして俺はそんな姿をお前に見せたくなかった。」

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