ちゃんと伝えられたら
私の肩から坂口さんの手が離れ、その手を坂口さんは自分の額に持っていく。

「それほど…、志保の事が好きになってしまったからだ。」

坂口さんの顔は真っ赤になっている。

私は自分の気持ちが溢れそうになるのを感じる。

どうしよう…、私…。

「出来れば志保に知られないまま、ちゃんとお嬢さんを説得したかった。それがドライブを断った理由だ。三島常務にも同席をして欲しかったから、その日にしか三人で時間が取れなかったんだ。」

「でもあの時は二人で歩いていましたよね…。」

私はついあの日に見た事を言ってしまった。

「やっぱりあの時に志保は会社の近くに居たんだ。三島常務とは、その後に落ち合ったんだ。そう言えば、志保は寺本さんと一緒じゃなかったか?」

私はこくりとうなずいた。

「偶然ばったりと会ってしまったんです。」

私は正直に答えるのみだ。

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