ちゃんと伝えられたら
でも私に起こった事が、坂口さんに対して起こるという事はないのだろうか。

そう気が付いた時、私はとてつもない不安に襲われる。

取引会社への転職を断ったが故に担当を外されて、今の会社も解雇されるという事にはならないのだろうか。

それが結局取引会社に移る事しか選択を出来ない状態になってしまったら…。

こんな時は悪い方へ考えがいってしまう。

私が居なければ、綾人さんは納得の上で取引会社へ移り、三島常務と共にやりがいのある仕事が出来る。

そしてあの人と結婚でもすれば、すべては盤石になる。

私はいつの間にか熱にうなされていた。

もうそこには綾人さんの姿は見えない。

手が差し伸べられているが、私はどんなに頑張っても追いつく事は出来ない。

そうあの時のように…。

今度こそ、私はちゃんと諦めなくてはいけない。

分かってはいるのだけれど…。

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