ちゃんと伝えられたら
「分かったよ、“篠田”。」

「何かそう呼ばれると、寂しい感じがしますね。」

自分が先にそう呼んだのに、私はそんな事をぽろっと言ってしまった。

会社へ社用車が滑り込む。

「あれ?」

今日は社員用の入口に止まらずに、駐車場に直接向かっている。

やっぱり怒っているのかな。

だからささやかな意地悪…?

社用車を駐車場の一番奥に止めると、綾人さんがかぶさって来る。

「だめだ、キスさせろ。」

私が驚く間もなく、すんなり唇は塞がれてしまって…。

私は静かに目を閉じる。

「俺、こんな調子で大丈夫なのかな。」

ポツリと呟く綾人さんの顔は赤い。

< 257 / 258 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop