ちゃんと伝えられたら
思わず目がウルっと来る。

「篠田、今日は泣くなよ。」

あの雨の日の事を言っているんだろう。

「あの時と違って、今日はうれし涙なので何とか我慢します。」

私はにこりと笑った。

「そうしてくれるとありがたい。俺は…、ああいう時、篠田にどうしてやったらいいのか分からない。」

坂口さんはちょっと困惑した様な表情を見せた。

「坂口さん、あの時はきっとあれが正解だったと思います。」

私は少し目線を落として答える。

「…それなら良かった。」

坂口さんはぼそりとつぶやくと、元のデスクへもう一度資料を取りに行った。

しばらくお互いが無言のままでデスク周りを整理する。

「篠田、二人が今回共通で使う資料は、お前のデスクの後ろの本棚へ置いておく。遠慮なく使え。その代わり、使用後はきちんと戻しておくように。」

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