ちゃんと伝えられたら
「篠田さん。」

またまたこの声に名を呼ばれた。

「道人さん、どうしたんですか?」

私はあまりにもタイミングが良い事に目を丸くする。

「いや…、兄貴が篠田さんからラインの連絡が途絶えてしまったから心配していてさ。今日会う予定をキャンセルしたんだけど、一度様子を見に行ってくれないかって言われて…。」

私は思わず時計を見る。

時計は10時を少し回ったところだった。

偶然にも坂口さんと待ち合わせた場所と時間ぴったりだ。

「ごめんなさい、道人さんも忙しいのに。」

私は申し訳なくて、ぺこりと頭を下げた。

「私の事は大丈夫って坂口さんに伝えて下さい、じゃあ。」

私は道人さんに微笑むと、映画館へ向かおうとする。

「兄貴の代わりって言ったら図々しいかもしれないけど、俺が付き合おうか?」

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