教育係の私が後輩から…

怪我をして1週間休み、久しぶりに出社すると、みんなから好奇な眼を向けられる。

既に何らかの噂は流れてるだろうし、松葉杖突いて出社すれば、好奇な眼で見られても仕方ないのかもしれない。

「おはようございます!」

私の挨拶に応えてくれたのは、誠一郎と七本だけだった。

「佐伯、出て来て大丈夫なのかよ?」

「うん。もう、大丈夫。その節はお世話になりました。」

私は七本に丁寧にお礼を言って、自分のデスクへ向かうと、誠一郎が、鞄を受け取り椅子を引いてくれる。

「そんなに世話焼いてくれなくても、自分で、出来るから。」

「自宅での看病は断わられましたが、会社で、フォローするのは、別に良いですよね?」

なんで言わなくて良いことまで、
言っちゃうかな…

『えっ!?もしかして、猪瀬さん、佐伯さんの自宅にも行ってるんですか!?』
女性陣からの驚きと嫉妬の声が上がった。

ほら、食いついてきた?

『マジかよ??
七本に公開告白させといて、猪瀬さんを家に連れ込むって大した女だな!?』

はいはい…好きに言って下さいよ?
今更なに言われても平気ですから?

「七本さん、公開告白ってなんですか?」

「猪瀬さんこそ、自宅で看病って??」

もう…

「うるさーい! 人の事を詮索する前に仕事しろ!
あんた達なにしに会社来てるの!!」

私の一喝で、誠一郎と七本は自分の仕事を始めた。




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