教育係の私が後輩から…
「あれ? 佐伯さん、もう出勤して来ちゃったの?」
私の後から出勤して来た課長は私の顔を見るなり、驚いていた。
「課長、長いお休み頂いてすみませんでした。」
「いやまだ、休んでて良いのに?」
「いえ、今日はK社との打ち合わせが有りますので?」
「あーそれなら、部長の指示で、菊池君が引き継ぐ事になってるよ?
怪我が酷いと聞いていたからね?
部長も君を心配しての事だから、
菊池君に任せると良い。」
また…?
あの部長は私から仕事取る気…?
「せっかくのお言葉ですが、K社との契約の1つに、担当者は変えない事と有りますが、宜しいのですか?
ここで変えて、契約が白紙になっても?」
「そ、それは困る。」
「では、担当は私のままで宜しいですね?」
「あ、ああ…そのままで…」
「では、行ってまいります。」
「佐伯先輩! 僕も行きます!」
誠一郎は私の鞄を待って付いてくる気でいる。
「かばん持ちなんて要らないから、猪瀬君は、次のA&M社のコンテ考えといて?」
「えっでも…」
「有馬社長をがっかりさせないでね?」
誠一郎は渋々納得してくれた様で、そのまま引き下がってくれた。
だが、もう一人の世話好きを忘れていた。
「佐伯、下にタクシー呼んだから行くぞ?」
「いや、あんたも付いてこなくて良いから?」
「拒否っても無駄!俺はただのカバン持ちで行くんじゃ無い!ついでだ!
俺も、K社に用があるんでね?
以前広報の斎藤さんに世話になったから、ちゃんとお礼しとかないと?」
そして、パイプと囁いき、「だろ?」と、七本は楽しそうに言う。
「………分かった。じゃ、一緒に…」
七本は頼みもしない私の鞄を持ち、肩を貸してくれる。