教育係の私が後輩から…

「申し訳ありませんが、もう少し彼女お借りします!」

誠一郎は恭子にそう言い放つと、私の腕を掴んで恭子から引き離し、濃厚なキスをした。

んっ…

「ふっー…ちょ、ちょっと!」

こんな公道でなにしてくれてるのよ!?

「まだ12時の鐘は鳴ってませんよ?」

はぁ?
鐘?

誠一郎は通りかかったタクシーを止め、私をそのままタクシーの中へと押し込んだ。

「何処連れていくのよ!」

「僕の家です。」

「はぁ!? じょ、冗談じゃないわよ! 
運転手さん停めて! 私降ります!」

「停めないでください!」

「なんで、あんたの家なんかに行かなきゃなんないの!?」

私達の言い争いに、困り果てた運転手は、ミラー越しに私達を見ていた。

「セクハラで訴えるわよ!?」

「ええ。訴えるならどうぞ?」

「あっそうだ! 運転手さん、これ僕の名刺です。もし、彼女がセクハラで訴えたなら、証人になってあげて頂けますか?」

「なにバカなこと言ってるの!?」

いつのまにか雨はひどくなり、ワイパーが激しく動いていた。

「運転手さん、その先で止めて下さい。」

タクシーが停まると、高層マンションが目に入る。

「3,580円になります。」と運転手が言うと、誠一郎は財布から一万円札を出し、運転手へ渡した。
そして、「お釣りは結構です。お騒がさしました。」と言った。

えっ!?
半分以上チップ!?




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