教育係の私が後輩から…

溢れてくる涙をこらえる自信が無くて、私はそのまま屋上へ行き、一人で泣いていた。

これで良い…
これが誠一郎の為…

「ごめんね? あなたからパパを奪っちゃった… でも、パパの分までママがあなたを愛してあげるから?」

「やっぱり、誠一郎君のためですか?」

えっ?
誰も居ないって思ってたのに…

声掛けたのは専務だった。
どうして、専務がこんな所に居るの…?

「君が部屋を出て、私も直ぐに部屋を出たんですよ? 君に渡したい物があったもので?
でも泣くほど好きなら、誠一郎君の子じゃない、なんて言わなきゃいいのに?」

「何言ってるんですか!? 私はただ…」

「ただ?」

「ただ、目にゴミが入って…」

「じゃ、見てあげましょう?」

専務は私の顎を掴み、覗き込んできた。

「いえ、大丈夫です。」

「ほら、じっとして?」

『チュッ』

「っ!?」

「キスをすると涙が止まるって本当なんですね?」

えっー!?
な、なんで専務が私にキスするのよ!?





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