幼なじみの榛名くんは甘えたがり。
メッセージの通知は榛名くんからのものだった。
スマホのロック画面をあけて、
内容を確認した。
『今日遅くなるから晩ご飯いらない』
また、遅くなるんだ……。
少し前の榛名くんの帰りが遅かった時のことが頭をよぎった。
嫌でも思い出したくなかった、
甘い香水の匂い……。
忘れかけていたはずなのに、いまこの一瞬で思い出してしまって、気分が重く沈んだ。
誰と一緒なのかとか、
帰りが何時になるのとか、
聞きたいことは出てくるのに、
スマホの画面で返信を打つわたしの指は何も聞こうとはしない。
『そっか、わかったよ。
気をつけて帰ってきてね』
送信のボタンを押して、スマホの画面が真っ暗になって、
はぁ、とため息が漏れた。
せっかく、晩ご飯を作ろうとしたのに、作る気が一気になくなった。