限りない愛~甘い彼に心揺れて~
まさかの『大ちゃん』呼びを希望?  

でも、誰かに聞かれたら恥ずかしくならないのかな?

私が躊躇っていると、副社長は湯気の立つカップを持ってきて隣に座る。「どうぞ」を置かれて、ここで呼ぶべきか悩む。

呼び方はわりと重要だと思う。


「難しく考えなくていいのに。大ちゃんって呼ぶのは真帆と真帆のお母さんだけだから、懐かしいというか心がホッとするんだよね」

「うちの母が大ちゃんと呼ぶのはいいと思うけど」

「真帆が呼んでもいいと思うけど」

「ええっ! だ、だ、大ちゃん?」


意地悪っぽい返しに動揺する。なんとか希望された呼び方を小さい声で発する。副社長は狼狽える私を笑う。

今日はよく笑うな。


「ちゃんと言ってみて」


私はカップを両手で包み、副社長をしっかり見る。彼は優しい笑みを浮かべて、私からの言葉を待っている。

コーヒーを一口飲んでから、もう一度しっかりと見つめる。


「大ちゃん」

「うん。なに?」

「なにって……好き」


私の言葉が予想外だったようで、彼は瞳を大きくさせた。カップをテーブルに置いて、呆然とする彼の両頬を暖かくなった手で包む。
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