限りない愛~甘い彼に心揺れて~
「大ちゃん」と彼の肩に手を触れると彼はガバッと立ち上がった。私から顔を背けて、自分の口を手で覆う。いったいどうしてしまったのだろう。

謎な行動に不安が増していく。


「本当にごめん。謝ってすむことではないけど、キス以上のことはしないつもりだったんだ。でも、真帆からのキスが嬉しくて、つい……抑えられなくなっちゃって」


大ちゃんは私の隣に座り直して、コーヒーを飲む。気持ちを落ち着かせるように息を大きく吐いた。

またうなだれている彼に何を言ったらいいのかと迷う。


「そうだ。真帆の話はなに? 話したいことがあるんだよね?」

「あ、うん。話というか訊きたいことがあって。あのね……さっきもそうだけど、大ちゃんはどういう意味でキスしたの?」

「え? 真帆と同じだと思うけど? 真帆が好きだからキスした。真帆は違うの?」

「ううん、私も同じだよ。ごめん、聞き方を間違えた。私たちは付き合っているの? 付き合っているからキスしたの?」


しっかりと私の話を訊く大ちゃんの手を軽く握る。欲しくない答えを言わないで欲しいという願いをそっと込めて。
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