限りない愛~甘い彼に心揺れて~
「真帆?」と大ちゃんが訝しげに呼ぶが、私は社長を見た。

社長は大ちゃんを養子にして、育てた人だ。亡くなった両親の代わりに大ちゃんのことを心配して、私を呼んだのではないかなと思う。

社長は寂しそうな表情で、視線を下に落としていた。


「私、まだ説明してません。部長の代わりが私には到底務まりませんが、私なりに頑張りますので説明させてください」

「真帆、いいんだよ。説明を聞く気なんてないんだから。真帆を困らせようとしてるだけだよ」

「それは違うと思います」

「えっ?」


ここを出るようにと再度引っ張る大ちゃんの手を離した。大ちゃんは唖然とした顔で私を見る。社長も顔を上げて、私を見た。


「社長は副社長を心配して、どんな人なんだろうと私をお呼びになったのだと思います。私、まだどんな人か知ってもらっていないです」

「真帆、そんな優しいことを言わなくていいよ。真帆のことを知りたいのなら、俺を通して家に呼ぶのが当たり前のはずなんだから。俺の許可を得ずに社長の権限で呼ぶのは間違っている」


きっぱりと言い切る大ちゃんに何も返せない。確かに大ちゃんの言う通りなのかも。でも……。
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