限りない愛~甘い彼に心揺れて~
くしゃみをしただけで、サボることは出来ません……。

大ちゃんはどこから出してきたのかボルドー色のブランケットを私にかけようとする。本気で寝かされる?

全然眠くないのだが、どうしたら分かってくれるのだか……。


「大変お待たせしました」


断る言葉を考えていたら、トレイを手にした豊川さんが入ってきた。トレイの上には白っぽいティーポットとカップが乗っていて、茶葉の香りが漂ってきた。

この独特の香りはジャスミンティー。


「会社になく、外に出て買ってきましたので、遅くなりました。宮坂さん、どうぞ」

「え、私にですか?」

「俺が頼んだんだよ。リラックスして休むにはジャスミンティーを飲んだらいいかと思ってね」

「それで……。豊川さん、お忙しいのにわざわざすみません」


会社にジャスミンティーの葉は常備されていない。自動販売機にペットボトルのはあるが、それではダメだと大ちゃんが言ったのに違いない。

大ちゃんのわがままな要求に応じてくれたのだろうけど、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
< 138 / 202 >

この作品をシェア

pagetop