限りない愛~甘い彼に心揺れて~
「幹太さんとこも予約は全部埋まっていたんだけど、ちょうどキャンセルが入って、空いたんだって。良かったよ、どこもなくて途方にくれていたから」


タクシーは兄のレストランの前に止まった。一方通行の道だから、少し回り道をしたが。


「いらっしゃいませ。メリークリスマス」

「こんばんは。メリークリスマス」


亜依子さんが出迎えてくれた。

ちなみに亜由と実亜は我が家のクリスマス会に父と母が招待している。去年までは私もそこに加わっていた。

ふたりは昨夜から泊まりに来ていて、私が出掛ける時には寂しそうな顔をしていた。相手をしてあげられないのはかわいそうだったけど、今日だけは譲れない。

特別なイブだから。

前に来たときと同じ奥のテーブルに案内される。このレストランでは、クリスマスの予約は18時30分のみの受付しかしていない。

そして、落ち着いた素敵なクリスマスを過ごしてもらうよう五組のカップル限定となっている。

私もいつか恋人が出来たら、利用させてもらうと以前話したが、まさか今日実現することになるとは……。
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