限りない愛~甘い彼に心揺れて~
大ちゃんはカーテンを自動で閉めようとスイッチに手を伸ばしたが、私が止めたので「えっ?」と動きを止めた。

空から何かが降りてくるのが見えて、窓まで駆け寄る。


「やっぱり! 大ちゃん、雪だよ、雪!」


来てと手招きするとスイッチを押すのをやめた大ちゃんはこっちまで来たが、隣に立つのではなく背後から私を抱きしめてきた。

えっ、後ろじゃなくて、こっちに来てほしかったのに……雪に興奮していた私は身動き出来なくなった。


「本当だ、ふわふわと舞うように降っていて、きれいだね。細かいから積もらないかな」

「う、うん、そうだね。積もるほど降らないよね。つ、積もったら雪だるま作りたいと思っていたから、ちょっと残念だな」


前からは窓からひんやりとした冷気がくるが、背中は大ちゃんからの熱で暖かい。煌びやかな夜景の中に降る雪はきれいだった。

「きれい」と呟くと、大ちゃんは「寒い」と呟く。


「寒いの? カーテン閉めて、温かいものを飲む? コーヒー淹れていい?」


自分の胸元で交差させている大ちゃんの腕をぎゅっと握った。もう少しこのままでいたいけど、確かに窓の近くは寒い。
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