限りない愛~甘い彼に心揺れて~
家族は大ちゃんがどんな人物であろうと変わらないと見ていて、私だけが戸惑っているのかも。

兄が言うように、確かに王子様っぽいところはあった。年下の私をお姫様みたいに優しく扱ってくれたのは今までの人生の中で大ちゃんただひとりだ。

そんな彼は今、私の髪に手を触れている。この手は一体?


「あの、この手は……なにか?」

「ん、風で乱れたのかこの辺がちょっとポッコリと膨らんでいたから」

「そう? ありがとうございます」


髪を整えた副社長は最後に頭を撫でた。彼の行動と近い距離に私の顔は熱を帯びる。

こんな距離でこんなことをされたら、ドキドキしてしまうではないのよ……。


「なんか懐かしい光景だな。昔もよく真帆をかわいい、かわいいと撫でていたよな。ロリコンなんかと思ったけど」

「失礼だな。真帆しか撫でたことはないよ。本当にかわいかったからね。ところで、幹太くんは何してるの?」

話題が私から兄へと変わり、ホッとする。兄は小さなレストランを経営していることを話し、それについて副社長がいろいろ質問をしていた。


「次、出てくるわよ。実亜と洸くん」


母の声掛けに盛り上がっていた話は一時中断し、声援を送ることにうつった。
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