限りない愛~甘い彼に心揺れて~
どんな話し方をするのが正解なのか判断がむずかしい。副社長の求める話し方は出来そうで、出来ない。


「そうなのか。俺はやっと会えた真帆をめちゃくちゃ甘やかしたい気分なんだけどな」


めちゃくちゃ甘やかす?

それって、どうやって?

家族からの愛情はもちろん感じて育ってきたけど、ごく普通の愛情でめちゃくちゃかわいがるというのはなかったと思う。

だから、副社長の言う甘やかすがどの程度のものなのかわからなくて、答える言葉が見つらなかった。

彼はただ目を丸くさせただけの私を笑う。


「真帆をそばに置いておくだけで、癒されると思うんだよね」

「私、人を癒す力なんてないよ?」

「あー、なるほどね。大祐の言うこと、分かるな。俺もこれといると癒されるというか心が安らぐから一緒になったからね。つまり、大祐にとってそういう存在?」


お兄ちゃんがこれと指差すのは奥さんの亜依子(あいこ)さん。ふたりは高校の同級生でとにかく兄がベタぼれで結婚にいたり、今でもふたりでレストランを経営していて、ほぼ一日中ともに過ごしていて仲が良い。
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