限りない愛~甘い彼に心揺れて~
その車の後部座席の窓が開いて、手が出てきて、おいでおいでと手招きする。
誰かが誰かを呼んでいる。私の前を歩いていた人は既にその車を追い越していたから、私の後ろにいる人に対してだろうと、横を通り過ぎようとした。
しかし、その時「真帆」と呼ばれて、歩みが止まる。真帆は確かに私の名前だ。
それに、この声って……。
ある人物を思い浮かべて車の方を見ると、ちょうど街灯に照らされていて呼んだ人の顔がハッキリと認識出来た。
「副社長……」
「送るから、乗って」
突然のことに驚きながらも、おそるおそる近付くとドアが開かれた。副社長は反対側の窓の方に体を寄せて、開けた場所に座るよう促す。
「家まで送るよ」
「副社長、これから会食では?」
副社長に返事をしたのは私ではなく、運転手さんだった。私は帰り際に見た副社長のスケジュールを思い出す。19時からは予定ありとだけ入力されていたから、取引先との会食でもあるのだろうと予想した。
予想通り、会食だった。それなら運転手さんの言うように私を家まで送っている時間などないはずだ。
誰かが誰かを呼んでいる。私の前を歩いていた人は既にその車を追い越していたから、私の後ろにいる人に対してだろうと、横を通り過ぎようとした。
しかし、その時「真帆」と呼ばれて、歩みが止まる。真帆は確かに私の名前だ。
それに、この声って……。
ある人物を思い浮かべて車の方を見ると、ちょうど街灯に照らされていて呼んだ人の顔がハッキリと認識出来た。
「副社長……」
「送るから、乗って」
突然のことに驚きながらも、おそるおそる近付くとドアが開かれた。副社長は反対側の窓の方に体を寄せて、開けた場所に座るよう促す。
「家まで送るよ」
「副社長、これから会食では?」
副社長に返事をしたのは私ではなく、運転手さんだった。私は帰り際に見た副社長のスケジュールを思い出す。19時からは予定ありとだけ入力されていたから、取引先との会食でもあるのだろうと予想した。
予想通り、会食だった。それなら運転手さんの言うように私を家まで送っている時間などないはずだ。