限りない愛~甘い彼に心揺れて~
会社での副社長はほとんど笑わない。ずっと監視してはいないから言い切れないけど、私が知る限りでは副社長室でふたりだけの時しか笑っていない。

その彼が今はニコニコしている。呆然とする私の背中を母が叩いた。


「行ってらっしゃい。あ、帰りは明日かしら?」

「は? 何を言って……」

「明日になるようだったら、連絡しますね」

「うん、わかったわ。大ちゃん、よろしくね」


ちょっと、お母さん!

何を勝手によろしくしてるのよ?

帰りは明日って、どういう意味で言っているの?

私が疑問を投げ掛ける暇もなく、母は「あら、いけない」とドアを閉めてしまう。鍋でなにかを煮ているのを思い出したようで、慌てて戻っていった。

動揺する私をよそに副社長は路上に止まっている黒色の車に向かうから、私も付いていくしかない。つい先日、乗せてもらった車が止まっていた。

副社長が自ら運転する車か、電車で行くものだと思っていたからなぜ運転手付きでなのかと疑問を感じた。だけど、今はそれよりも先に確認したいことがある。


「あの、何でお母さんに明日と……」
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