限りない愛~甘い彼に心揺れて~
「ああ、幹太くんからの情報で真帆は酔うと寝てしまうことが多いと教えてもらって、もし寝てしまったらその辺に寝かせてあげてと言われているんだよ。で、おばさんにも話しておくからとも言ってくれた。ちゃんと話が伝わっていて、良かったよね」


私の知らないところで、 自分の情報が伝わっているだけでなく、もしもの時の根回しまでされていた。

それを「良かった」と言われて、頭を抱えたくなる心境ではあるけれど、寝なければ今日のうちに帰れると私なりに決心した。

アルコールは控えめにしよう……。

兄がおすすめのワインを用意しておくと言ったから、自分では運転しないで来たそうだ。帰りはタクシーで送ってくれると言う。


「そこ段差あるから、気をつけて」

「あ、はい」

「こっちにおいで」

「ありがとうございます」


兄のレストランは大通りから中に入った一方通行の狭い道を進んだ先にある。私たちは大通りで降ろしてもらい、そこからは歩いた。

街灯はあるけれど、足元は薄暗い。それを気にした副社長が優しく腕を引いてから、私の手を握った。握られた瞬間、心臓が大きく揺れ動いた。
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