限りない愛~甘い彼に心揺れて~
タクシーに乗り込み、行き先を告げる前に副社長が訊く。彼も同じ気持ちなんだと嬉しくなり、「うん」と返事をした。

子供はもう寝る時間だけど、大人の私たちはまだまだ夜の時間を楽しめる。いろいろと話しているうちに副社長にたいしての敬語はなくなっていた。

副社長が運転手に告げた地名はお台場。運転手はナビを設定して、スタートさせる。


「お台場に行くの?」

「俺が住んでいるマンションがあるんだ。もし眠くなったらいつでも寝れるから、安心して」

「はい……」


いつでも寝れるから安心……お台場にあるバーとかレストランとかではなく、副社長の部屋で飲むというのだろうか?

確認したくても出来ずに窓から見える街の灯りを眺めているうちに、タクシーはマンションの前に到着した。


「どうぞ」

「おじゃまします……」


出された白いスリッパを履いて、リビングへと進む。


「なに飲む? ビール、ワイン、日本酒、焼酎、ウイスキー……水割りか炭酸割りも出来るけど」
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