蜜月は始まらない
【私らめっちゃ若くて笑うでしょ(笑) 曽根と柊くんも懐かしいよねー! ていうか、この写真今となってはかなりプレミアものじゃない??】



そのあとすぐ来たサムズアップしているゆるいウサギのスタンプに、ふっと笑みがこぼれる。

送ってくれた彼女も……まさか今私の目の前に、件のプレミアものな彼がいるとは思いもしないだろう。

私は改めて、写真をタップして拡大してみた。

……本当に、懐かしい。そういえば卒業式の日、このメンバーで写真撮ってもらってたっけ。

きっと、バタバタしていて彼女から送ってもらい忘れていたのだろう。初めて見た写真に、目が釘付けになる。

さっき、錫也くんの寝顔に高校時代の彼を重ねてはみたけど──やっぱり当然ながら、今よりもだいぶあどけなく思えた。

比べるとよくわかる。男の人って、こんなに変わるものなんだなあ。全然成長してない自分が恥ずかしい。

写真の中の彼は、カメラに顔を向けながらもなんだか少し気まずそうな表情をしていた。

ああ、そうだ、たしか……卒業が寂しくてボロボロ泣いていた私たちに、どんな対応すればいいのか困ってたんだっけ。

そう、このとき私は、寂しかった。
仲の良い友人たちと、毎日顔を合わせることができなくなることや──錫也くんとも、離れ離れになってしまうことが。

画面の彼を、そっと指先で撫でる。

まさか今、こうしてひとつ屋根の下で一緒に住んでいるなんて……もし当時の私が知ったら、驚きすぎて卒倒しちゃうんじゃないかな。
< 89 / 209 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop