御曹司は眠り姫に愛を囁く
柘植社長は純粋に真澄さんを愛し、ずっと想い続けていた。

柘植社長はロミオ、真澄さんはジュリエット。私はロミオとジュリエットの娘か・・・


別れ際、私は柘植社長に持っていた母と私の写真を渡した。
社長は来週からまた仕事で海外らしい。

次に会う約束は交わさなかったが、また連絡すると社長は優しい笑顔を湛え、私と別れた。


池口さんが、私を目黒のマンションまで送り届け、私に『社長から貴方へとプレゼントです』と二人で乾杯したワインの入った紙袋を渡して、帰っていった。


私を実の娘として二十六年間、育ててくれた伯父と伯母の貴崎夫妻。
そして、今夜・・・初めて会った実の父親の柘植社長。


私はいい人たちに巡り合い、たくさんの愛情を受けて育った。

最近、私には無関心だと思っていた父の私に対する想いに懐の大きさと深い愛情を感じ、感激していた。










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