御曹司は眠り姫に愛を囁く
「椎名さんの奥さんってどんな人ですか?」

「ん、あ・・・やっぱり貴崎さん君は・・・」

「!?」

「まぁいいや・・・キレイな人だ。今は悪阻で実家に帰っている・・・」

「・・・」

「子供が生まれるまでに・・・リフォームは完了させて欲しいそうだ」

須藤さんはタブレットでリビングを撮影しながら、椎名さんの話をしてくれた。

美男美女で、生まれくる子も可愛いだろうな・・・

「昨日、瑛から訊いた・・・」

須藤さんは言いにくそうに言葉を絞り出す。

「君の忘れらない男って、瑛の弟の稜君らしいな・・・」

「・・・」

「・・・稜君、瑛の言い方だと今は結婚して、落ち着いているけど、昔は女たらしだったようだな。
君も彼に振り回されて・・・」

全てを知ってるから椎名さんは親身に私を構ってくれた。

あの時の椎名さんの気遣いが嬉しかった。
稜さんではなく、彼が私の相手なら、こんなに苦しまずに済んだのにと思っていた。

そして、いつしか気づかない間に、私は彼に惹かれていた・・・

その彼も今は人様の旦那様。

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