御曹司は眠り姫に愛を囁く
その週の土曜日・・・

私が買い物で廊下に出ると、空き室だった隣の部屋に引っ越し業者が出入りし、荷物や家具を運び込んでいるのが見えた。

「その荷物は奥の部屋にお願いします」と一人の白のTシャツにGパン姿の若い男性が引っ越し業者に指示していた。

「あ・・・」

私は彼と目が合う。

「お隣に住まわれてる方ですか?」

「はい・・・えーと貴崎凛音と言います」

「俺は室雨航大。
総合家具メーカー『シーナ』東京支社で支社長秘書を務めております。
支社長は只今、海外出張の為、秘書である俺が代行して、引っ越しのお手伝いをしております。
帰国次第、支社長は貴方のお隣に住みますので、その際はまた改めて、ご挨拶に伺いますのでよろしくお願いします」


椎名さんの引っ越し先って…私の隣の部屋!!?


陸翔さんは知ってるの?



「では、失礼します」
室雨さんは部屋に入っていった。


自分は海外出張だし、奥様は悪阻の為里帰りしてるし、秘書に一任しているんだ・・・



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