World End 〜七情の泉〜
その晩、シャワーを浴び終えた翼は窓際の椅子の上で体育座りをして外を眺めていた。
翼の育った日本では家の中へ入る時に靴を脱ぐのが当たり前だったが、この世界では部屋の中でも靴を履いたまま過ごすのがごく一般的。靴を脱ぎ捨てられる場所といえば椅子やソファー、ベッドで眠る時、お風呂の時くらいだった。
カチャ__僅かに漏れた音。ハッとした翼は窓ガラス越しにリタの姿を捉えた。
「カモミールティーです。 安眠効果のあるお茶ですから、心休まるかと思います」
最初こそ緊張していたリタだが、今では自然な笑みを見せるようになっていた。堅苦しさを望まない翼の為の配慮だろう。
「有難う…ごめんね……」
「ツバサ様が謝る事など1つもございません」
リタの笑顔に対し、翼は眉を下げ返した。
_私が不安で眠れないから気を遣ってくれてるんだよね? そんな事を聞いても「私がお側におりたいだけです」とか言われそう。 仕事だしね……。
「いただきます」
心の内を明かす事なくカモミールティーに口を付けた。口の中に含み、初めての味を堪能した。この世界へくるまでは基本お茶か水か炭酸か……という飲み物ばかりだった。勿論紅茶や珈琲を飲む事もあったが、ティーパックのものやインスタントしか飲んだことがない。茶葉や珈琲豆から淹れる手間暇かけた飲み方は、リタが用意してくれて初めて飲んだ。
紅茶や珈琲に砂糖を入れたいと言えば驚かれ、ミルクを入れたいと言えばどこに?という顔をされ、ちょっとした文化の違いに日々戸惑っている。
翼の育った日本では家の中へ入る時に靴を脱ぐのが当たり前だったが、この世界では部屋の中でも靴を履いたまま過ごすのがごく一般的。靴を脱ぎ捨てられる場所といえば椅子やソファー、ベッドで眠る時、お風呂の時くらいだった。
カチャ__僅かに漏れた音。ハッとした翼は窓ガラス越しにリタの姿を捉えた。
「カモミールティーです。 安眠効果のあるお茶ですから、心休まるかと思います」
最初こそ緊張していたリタだが、今では自然な笑みを見せるようになっていた。堅苦しさを望まない翼の為の配慮だろう。
「有難う…ごめんね……」
「ツバサ様が謝る事など1つもございません」
リタの笑顔に対し、翼は眉を下げ返した。
_私が不安で眠れないから気を遣ってくれてるんだよね? そんな事を聞いても「私がお側におりたいだけです」とか言われそう。 仕事だしね……。
「いただきます」
心の内を明かす事なくカモミールティーに口を付けた。口の中に含み、初めての味を堪能した。この世界へくるまでは基本お茶か水か炭酸か……という飲み物ばかりだった。勿論紅茶や珈琲を飲む事もあったが、ティーパックのものやインスタントしか飲んだことがない。茶葉や珈琲豆から淹れる手間暇かけた飲み方は、リタが用意してくれて初めて飲んだ。
紅茶や珈琲に砂糖を入れたいと言えば驚かれ、ミルクを入れたいと言えばどこに?という顔をされ、ちょっとした文化の違いに日々戸惑っている。