World End 〜七情の泉〜
翼の顔が青ざめていく。そして胸の中の恐怖が膨らみ始める。


_みんなが魔物に襲われたら魔物になるって事だよね? そうなったら私どうなるの? 穢れを受けないだけで、襲われたら普通に怪我するし、最悪死んじゃうよね? ゲームの世界じゃない…夢でもない……死んだら終わりなんだよね?



「ツバサ様? 大丈夫ですか?」

「あ、う、うん! 大丈夫! 話し続けて!」

「ですが……お疲れですのに私の話なんかしてしまって__」

「いいの! 聞きたいから話してよ。 ね?」



表情を変えた翼に申し訳なさを感じたリタは話を中断しようとした。だが翼は話を聞きたかった。ガイアに聞かされていない事実がまだ出てくるかもしれないからだ。


部屋を暖かくする為、室内は暖炉の火で過ごしやすい温度を保たれている。それなのに翼は自分で自分の体を抱く様に腕を交差させた。



「魔物になってしまった父に襲われそうになった時、ちょうど森の視察に訪れていた魔導師長に救われました」

「魔導師長……?」

「ツバサ様はまだお会いしておりませんでしたね。 今は森周辺に張っている結界の強化に行っております。 近々お戻りになると伺っておりますので、直ぐにお顔を合わせることになるかと思います」



参謀総長や騎士団、国王や王子、執事や侍女……今までの生活では関わり合いのない呼び名ばかりで未だ慣れなかった。その上魔導師ときたら、他には何がいるんだ…と考えずにはいられなかった。


魔物の存在も認識しつつも、それこそ信じられない気持ちが拭えない。




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