おはようからおやすみを笑顔で。

デザートに出てきたフランボワーズのムースも美味しくいただき、食後のコーヒーを飲みながら、ひと息。
ああ、本当に美味しかった。たまには贅沢するのも悪くないなぁ、なんて思っていたその時だった。


「沙耶」

不意に名前を呼ばれ、斉野くんの方へと顔を向けると、彼からなにかを手渡される。

両手にちょうどおさまるくらいのサイズで、白い包装紙と赤いリボンでラッピングされているそれは、どう見ても私へのプレゼント……?


戸惑う私に、彼は言う。


「誕生日、おめでとう」


そう言われて、ようやく気付いた。
今日、私の誕生日だ。



「まさか、本当に忘れてたのか?」

彼のじとっとした視線に、思わずぎくっとしてしまう。


「は、はは! つい忘れてたよ……。逆に、斉野くんはよく私の誕生日なんて覚えてたね?」

「そりゃあ、覚えてるだろ。


ーー初めて告白した、大事な日でもあるしな」



ドクン、と急に胸が高鳴った。

そうだ。十四年前の今日、私は斉野くんに告白された。


……だけど私はそれを〝からかわれてる〟と誤解し、彼に対して酷いことを言ってしまった。


きっと、いや絶対、凄く傷付けた。

それなのに、あの日のことを〝大事な日〟と言ってくれるなんて……。



「ええと……開けてもいい?」

恥ずかしさを隠すように、もらったプレゼントに視線を移す。なにをくれたのか、気になったのも事実だった。


「うん」と斉野くんが答えてくれたので、そぅっと丁寧にプレゼントの包みを開ける。

「わぁっ、かわいい!」

中には、薄いピンクのプリザードフラワー。入れ物は、透明のガラスの靴。
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