おはようからおやすみを笑顔で。
「ん……」
ピピピ……という機械音に反応して目を覚ます。
枕元に置いておいた自分の携帯の画面を見ると、朝の六時半。
眠い目をこすりながら、今日は土曜日だからもう少し寝ていられるなあ、と思う。
けれど、機械音はピピピピピとずっと鳴り続けている。音の正体は、隣で眠っている斉野くんの携帯のアラームのようだ。
しばらくすると斉野くんも目を覚まし、アラームを止める。
すると彼は、ゆっくりとこちらに身体を向け、
「おはよう」
と言った。
「おはよう、斉野くん」
「よく眠れた?」
「う、うん」
スイートルームのふかふかのベッドだから、寝心地はとても良かった。
けれど、昨夜はプロポーズの後、斉野くんにたくさん求められて、就寝時間が少々物足りない。
そのためまだ少し眠くて頭がぼんやりするけれど、そんなことは恥ずかしいし言えない。一方的に求められていた訳では……ないし。
それにしても……
「ふふ」
急に笑い出した私を、斉野くんは不思議そうな顔で見つめる。
「ごめん、急に笑ったりして。なんか、昔のこと思い出したら、ちょっとおかしくて」
昔って? と、斉野くんはますます訳がわからないといった様子だ。
「斉野くんに意地悪されてた頃のこと。あの時は、斉野くんを避けることで頭がいっぱいで、朝の〝おはよう〟の挨拶もしたくなかったんだ」
だけど今は、こんなにも自然に〝おはよう〟って伝えられている。それがなんだかおかしくて思わず笑ってしまったと、私は彼に話した。